電子記録債権と電子記録債務とは
電子記録債権とは、企業が保有している受取手形や売掛金を電子化し、ネットで取引できるようにした紙に代わる決済手段です。電子債権記録機関の記録原簿に発生記録を登録して請求します。略してでんさいとも呼ばれます。
電子記録債務は支払手形や買掛金の電子化ですね。
流れとしては、
- 支払手形所有のA社は、A社の取引銀行へ電子債権記録機関の記録原簿に発生記録請求をする。
- A社の取引銀行は電子債権記録機関へ内容を伝えて電子記録債権が発生する。
- 電子債権記録機関はB社の取引銀行へ発生記録の通知をする。
- B社の取引銀行はB社へ通知をする。
となります。
電子記録債権は権利、お金をもらえる権利で(資産)になります。
電子記録債務は義務、お金を払う義務で(負債)になります。
電子記録債権のメリットとして、
- 紛失や盗難リスクなし
- 印紙代などのコスト削減
- 手間が少なくなる
などがあります。
電子記録債権の発生方式
債務者請求方式→支払い側が発生記録の請求を行うこと。
債権者請求方式→受け取り側が発生記録の請求を行うこと。この場合は債務者の承諾が必要になります。
基本的には売掛金(買掛金)や、受取手形(支払手形)を、電子記録債権(債務)に換えるので、
借方 | 貸方 |
(電子記録債権) 50 | (売上) 50 |
というような仕訳はほぼなく、相手科目は受取手形や売掛金になります。
例題【電子記録債権】【電子記録債務】
例題を見てみましょう。
借方 | 貸方 |
(電子記録債権)600 | (受取手形)600 |
受取手形に電子記録債権を用いる→電子記録債権が増える→ホームポジションの借方
(受取手形は資産で、減ったので貸方)
電子記録債権が支払われた場合、
借方 | 貸方 |
(当座預金)600 | (電子記録債権)600 |
電子記録債権の払い込み→電子記録債権が減った→ホームポジションとは逆の貸方
(当座預金は資産で増えたので借方)
債務者側の仕訳は、
借方 | 貸方 |
(買掛金)200 | (電子記録債務)200 |
買掛金に電子記録債務を用いる→電子記録債務が増える→ホームポジションの貸方
(買掛金は負債で減ったので借方)
電子記録債務を支払った場合、
借方 | 貸方 |
(電子記録債務)200 | (当座預金)200 |
電子記録債務を支払った→電子記録債務が減った→ホームポジションとは逆の借方
(当座預金は資産で、減ったので貸方)
まとめ
手形や掛けでの取引があった際に、管理のしやすい電子記録債権(債務)に書き換えることがある。
電子記録債権(債務)の相手科目は、ほぼ○○手形か〇掛金です。
電子記録債権(資産)、権利、お金をもらえる権利。
電子記録債務(負債)、義務、お金を支払う義務。
問題文に電子記録債権などと書かれるので勘定科目はわかりやすいですが、債権か債務かしっかり確認しましょう。(似てるのでネット試験での誤クリックに注意です。)
コメント